レオナルド×ミケランジェロ @三菱一号館美術館
ルネサンスの三大巨匠といえば、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ・ブオナローティ、ラファエロ・サンティですが、ラファエロは若くして亡くなったせいか、レオナルドとミケランジェロが比較されることが多いようです。
この2人どっちが好き?と聞かれたら、私はミケランジェロ。彫刻が本当に美しいし、絵画もエネルギーに満ちている。一方レオナルドの描く女性が私はどうも苦手。虚をさまよっているような視線と口角が微妙に上がっているシニカルな笑顔にうすら寒い思いがします。だからモナ・リザは美人に思えないのです。
さて、現在三菱一号館美術館で開催中の「レオナルド×ミケランジェロ展」とても面白かったです。
今回の目玉は、最も美しいとされる2人の素描。
レオナルドの《少女の頭部/<岩窟の聖母>の天使のための習作》(左)とミケランジェロの《<レダと白鳥>の頭部のための習作》。
画力のある人の素描は本当に美しいですね。
解説で面白かったのは素描の描き方の違い。
レオナルドは、左利きだったため左上から右下に下すハッチングで線の重なり(密度といった方が私はわかりやすい)で陰影を表しているけれど、ミケランジェロは、クロスハッチングと言って線をクロスして凹凸を描いているということ。(http://mimt.jp/lemi/02.html に詳しく書いてあります)
また、ミケランジェロのこの作品のモデルは若い男の子だったようで、まつ毛を長くして彼をより女性らしく描き直したのが左下なのだということ。
こういう解説を得ながら鑑賞すると、素描をみることはとても楽しいですね。
今回展示されているものの多くは、切れ端のようなものに構想を練りながら描いていた、ある種落書き的なもの。
練習台とおもえばこそ丸めて捨ててしまいそうだし、紙とペンやチョークなんて劣化しやすい素材なのに…。
そんなものが600年近い時を超えてよくぞこれだけ遺っていてくれたという感動があります。すごい!!
今回のフォトスポットはこちら。
ミケランジェロが途中で投げ出してしまった(顔の部分に大理石の黒い傷が出てきて中断してしまった)ものを、だれかが仕上げたらしい。
《十字架を持つキリスト(ジュスティアーニのキリスト)》1514-1516
この作品、角度を変えて見てみるとキリストの表情がまるで違うところに魅力を感じます。
派手さはないけれど、大作を仕上げる前の素描を見ることで、作家の頭の中を覗き見ているみたいな面白さがある展覧会でした。