「マルセル・デュシャンと日本美術」@東京国立博物館

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レディメイドの車輪やベン…いや、《泉》などや、現代美術の教科書に掲載されてる写真とかもいっぱいあって、ミーハー的にワクワクした。授業で習った通りちゃんと「R.MUTT」のサインがある!

 

《チョコレート磨砕器》《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも(大ガラス)》《瓶乾燥器》とかが、1室に並べられているのは、ただただデュシャン・ワールドの空間が広がっていてかっこいいなと思った。

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ゴーギャンセザンヌっぽい初期の絵画から、キュビズムな絵画も面白い。
この当時の近代絵画の流れをおさらいしているみたいだ。
《階段を降りる裸体 No. 2》は、本当にかっこいい絵だと思う。
こんな乱れた絵の中にも、きちんと美しい裸婦が見えるし、キュビスムはそもそも画期的な発想だと思うけれど、そこに「時間」を持ち込んだというのは天才だとしか思えない。

「視覚」に頼る芸術を否定して、「観念」を持ち込んだというのは
現代芸術を知的な遊びに押し上げた功労者でもあり
難解で敷居の高いものにしてしまった戦犯でもあると思う。
そういう意味でもやっぱりデュシャンはすごい人だ。

 

でもなんでその後に利休や写楽なんだ?
日本美術とのリンクが全く見えなくて無理矢理感満載。
近美がやれば所蔵作品とのリンクもっと意味あるものになったと思うけど。

過去の作品の貸し出しのお礼が云々とか
東博という場所でやる意義とかなんだか大人の事情が見え隠れするんだけれど
周りに人に聞いてもこの試みはかなり不評だ。

デュシャンしゃんと利Qはん」も、キャラとしてなんだかなあ。
便器のストラップとか、車輪の動くミニチュアとかあったら
絶対買いたかった。そういうオリジナルグッズ期待してたのに…。

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ピエール・ボナール展@国立新美術館

ボナールの絵が好きだと思ってたけれど、惹かれる絵はその中で限られてたというのがわかって、自分でもちょっとびっくり。
あんまりグッと来た絵が少なくて、(以前見たものが結構あったせいかもしれないけれど)実はそんなに好きじゃなかったのかも。


ナビ派の魅力は、不穏な空気感。幸せな光景の中にある漠然とした不安定さとか悪意とか。
幸せそうにしているけれど、裏では不倫してるでしょとか、そんな感じの。
めちゃくちゃ裏がありそうなヴァロットンの方がらしいのかな。

そういう意味では、麗しい浴室の裸婦たちの裏に三角関係の果てに自殺した女性の影がある、というのは怖くてナビらしくて、興味深いな。

明るくきれいなボナールの風景画はとっつきやすいだけれど、なんとなくしっくりこないかなぁ…。

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開館15周年 特別展 ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデルニテ@パナソニック汐留ミュージアム

厚塗りルオーの宗教画の数々。
明るい色彩と石膏のようにも感じるマチエール。
受難のキリストにも温かさと優しさを感じる。

冒頭のモノクロームの版画にすらルオーの質感が感じられるのが凄い。
「生きるとはつらい業…」「でも愛することができたなら、なんと楽しいことだろう」とは深いタイトル。


監修された後藤新治先生に質問する機会を得たが、ルオーの支持体の多くが紙であるのは、当初は経済的理由だったとのこと。
その後余裕ができてもその支持体を捨てなかったのは、塗っては削ってまた塗っていく制作方法には紙がやりやすかったのではないかとご教授いただいた。
裏は布が貼ってあるので、どんな紙質を使ったかは、
修復を経ないとわからないということ。

以前やはりここでモローとルオーの師弟愛についての展示を見たが、ルオーという人は愛すべき人だったのではないかと全編を通して思った。

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藤田嗣治展@東京都美術館

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フジタについては、これほど国内で賛否両論ある画家もいないのではないか。
とある重鎮のキュレーターの方にギャラリートークの上達法をお聞きする機会があったのだけれど、「対象を好きになること。だから僕はフジタに関しては語れない。」とのこと。いわずもがな。
総じて男性は否定的、女性は肯定的に思えるのだけれど、そこは戦争画→国籍変更をどう捉えるかの違いだと思う。
著作権の地雷がある作家のベスト(ワースト?)3とも言われるらしいフジタの回顧展はこれまで開かれにくかった。今回の回顧展は天晴!と言ってもいいのではないか。
女性のスタッフが中心となって進めたという本展は、グッズを含めフジタ愛を感じる。中心となったキュレーター林洋子さんは、長年フジタを追い、いくつかの藤田展を企画されてきた方だ。乳白色や戦争画という固定観念を取り除き、公平な藤田を見つめるいい機会だと思った。

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モネ それからの100年展@横浜美術館

モネの睡蓮、風景画の展示とその影響を受けたと思われる作家、あるいはオマージュ作品。現代アートがかなりあり、モネがその後の絵画史に大きな影響を与えたことがよくわかる。

 

色と形の変革。このころの絵画史は先人を乗り越えようとイズムを刷新し続けたわかりやすい時代。それに比べて現代アートは自己の探求に進むから、他者にはわかりにくいのかも。

 

モネから現代アートの飛躍が大き過ぎて、モネ目当てで来ると戸惑われるのでは?せっかくワクワクする現代アートの名品に素通りの方が多く、展示の難しさを感じた。

 

横浜美術館はコレクション展と企画展のリンクがいつもうまい!目立たないけど写真の展示がモネと同時代ですごく楽しめる。

 

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イサム・ノグチー彫刻から身体・庭へ@東京オペラシティアートギャラリー

イサム・ノグチは、評伝も読んでいるし、映画「レオ二―」も観ているし、思い入れのある作家。
どうしても来たかった。

1枚目のドローイングでドギマギ。
なんて綺麗な曲線を迷いなく引ける人なんだろうか。
作家との相性は、理屈なくとにかく感性がぴったり合うことがあって、私にとってイサム・ノグチはそういう人のひとりだ。
とにかく線とか質量とか質感とか全部フィットする。

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水を描く@山種美術館

猛暑に清涼のひととき。
様々な作家の水の表現の違いが楽しめる。
これだけ水が作品の重要な要素になっているのは、日本が豊かな水のくにであるからこそ。

先日レクチャーを受けた佐藤悠さんの鑑賞術の一つにあった「自分ではない者になってみる」。
山元春挙の《清流》の中の飛ぶ鳥になって、最高の気分だった。

 

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