柳原義達展&川瀬巴水展 @平塚市美術館

緊急事態宣言で都内の美術館がクローズになってしまったので、近場の美術館へ。

 

こういう時、地元の美術館が元気であるのはうれしい。

 6月13日まで平塚市美術館では三重県立美術館全面協力の「柳原義達展」と地元コレクター荒井寿一氏の「川瀬巴水展を行っている。

 

開館30周年記念「柳沢義達展」 

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 柳原義達(1910-2004)は、ロダンブールデルの影響を受けた具象彫刻家だ。
本展が人物像(ほとんど裸婦像)と鳥(鴉あるいは鳩)を集めたのが、代表作だからなのか、なんらかの展示意図によるものかは柳原義達については詳しくないのでよくわからない。
2室にわかれた展示室には、前半が人物、後半が鳥にきっちりと分類してある。
技法的になんと呼ぶかわからないけれど、ブロンズ作品はつるつるとした表面ではなくごつごつとした荒い触感の作品が個人的には好き。
だから柳原の作品は、好感が持てるタイプだ。
特に左右の乳房の大きさが極端に違う裸婦が「綺麗じゃない美しさ」があって、好きだった。
 
ただ展示の仕方に特徴があって、中央に固まった等身大以上の裸婦たちが一斉に正面を向いている様、これには私のオツレサマは一瞬ゾッとしたという。
また後半の展示室の鳥たちが地面に20羽以上固まって「立って」いる様子は、ヒチコックの『鳥』にトラウマを持つ私にとって「行けない場所」になってしまった。
私たちが過敏だったのかもしれないけれど、こういうインパクトがありすぎる展示方法は良し悪しなのかもしれない。
 

開館30周年記念 荒井寿一コレクション「川瀬巴水展」

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美術にとってコレクターというのは、かけがえのない存在だ。
美術品は一定の価値を持たないと保存されていかないし、現存の作家は食べていけないからだ。
本展のコレクションを見れば、どんなに氏が巴水を好きなのかがわかる。
それは100点を超える版画だけでなく、巴水が挿絵を手掛けた書籍、雑誌、絵葉書などそれはそれはあらゆる面での巴水づくしは、コレクション魂が現れているからだ。
ぜひとも末永くこれらが散逸せずに保存されることを心から願う。
 

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川瀬巴水(1883-1957)の版画は、私たち日本人が心の中に仕舞っている原風景を優しく呼び起こす。
風景の中にそっと潜む人物が、自分であったり、親しい人であったりを感じさせるから、あたかもその風景に入り込んでしまったような気持ちにさせる。
巴水の版画が一枚でもいいからほしい。。。。と私も何度も思ったから、コレクターとなった荒井氏には本当に共感する。
 
 
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