長谷川町子美術館 

先日私の敬愛するギタリスト、小倉博和さんのライブが行われるので桜新町に行きました。

桜新町と言えば・・・サザエさんの街。

長谷川町子美術館にも寄ってみることにしました。

桜新町の駅を出ると「サザエさん通り」の旗が!あちこちにイラストやモニュメントがいっぱいです。

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商店街では ♪お魚くわえたドラ猫を~♪ がずっと鳴っています。

住民の方々は年がら年中四六時中日曜の夕方のような気分になりませんでしょうか?と心配になります。

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サザエさん美術館は原則撮影禁止。

しかし、2階に花沢不動産コーナーがあり、そこではOKです。

現在第3期分譲をやっていまして、私は抽選の結果7丁目5番地に家を持つことができました。

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ピンクのドアの緑の屋根が浮舟家です。

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塀で囲われた青い屋根がサザエさん宅。5K平屋です。

向こうのピンクの屋根の2階建てがいささか先生宅。どちらも我々分譲の庶民に比べて豪邸ですね。

 

4コマ漫画の原稿がたくさん展示されており、一つ一つ読んでいくと結構時間がたってしまうくらい。

長谷川町子さんがアシスタントを置かずにすべて自筆で描かれたとのこと。細く、迷いのない線がとても美しい。素描レベルで見ても本当に女性らしい柔らかくすばらしい線を描く方だということが原画を見て感じたことです。

中には切り張りしている作品がいくつかあるのですが、それは新聞連載から単行本に編集し直したものだそうです。

新聞と単行本ではコマの幅が違うので、同じストーリーを切り張りして、伸びた幅分の背景を付け足していたとのことでした。

 

サザエさん

テレビアニメが有名ですが、昭和30年代からの新聞連載の4コマ漫画。ワカメが泣いただの、カツオが叱られただの。まあ、取るに足らない日常のドタバタを集めた、な~んにもない、どこにでもあるストーリー。しかし、昭和の家族の父が父であり、子が子であった時代の今となっては遠い昔のストーリーなのかもしれません。

 

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『女性画家列伝』若桑みどり著

アルテミジア・ジェンティレツキのレポートを書くために図書館で借りた若桑みどり著「女性画家列伝」。

アルテミジアの章だけ読んで返そうと思ったら、あまりにも面白くて全部読んでしまいました。

昔から女性画家はきわめて珍しく、歴史上名を残した12名をピックアップして紹介しています。私の備忘録代わりにメモを残します。

※没年は出版後亡くなった方は加筆します。

シュザンヌ・ヴァラドン(1885-1938)

アルテミジア・ジェンティレツキ(1593-1652/3)

エリザベート・ヴィジェ・ルブラン(1755-1842)

アンゼリカ・カウフマン(1741-1807)

ケーテ・コルヴィッツ(1867-1945)

上村松園(1875-1949)

ラグーザ・玉(1861-1939)

山下りん(1857-1939)

マリー・ローランサン(1885-1956)

レオノール・フィニ(1918-1996)

ナターシャ・ゴンチャローヴァ(1881-1962)

多田美波(若桑氏との対談)(1924-2014)

 

この著書は割合古く1985年のもの。

若桑氏といえばイコノロジー関連の著書が多い美術史家で、すでに没故人です。この前、講義を受けた先生が学会で若桑氏を見かけたことがあり、なかなか辛辣でパワフルな方だったと語っておられました。

12人の女性画家の生涯を調べていたら、結局若桑氏自身の人生を振り返るようになってしまったというところが面白い。もちろん12人の女性の人生を知るのも面白かったけれど、それ以上に多田美波氏との対談と40ページにも及ぶ異例の「あとがき」:女性はどのようにして芸術家になったか:の吸引力が凄かったです。

芸大で一時は制作者への道に進もうと思っていた若桑氏の才能ある同性の友人たちは、結局芸術家を全員断念したそうです。

12人の画家たちが成功したのはなぜか。そして若桑氏の友人たちをはじめとして多くの才能ある女性たちは画家を断念したのか。

それは結婚や出産が大きな理由だということ。

では「理解ある男を選べばよい」という意見に対して、離婚経験者である若桑氏はシモーヌ・ヴェーユやボーヴォワールを引いて「恋愛とはそのような選択によってなされるものではないから」と言い切ります。

確かにそう。愛する相手が自分の将来に都合のいい相手であることなど本当に稀なことだから。

その他に女性にとって、肯定的な意味でも否定的な意味でも「父親」の存在がとても大きいとのこと。娘を「人間としての人格」を与えようと教育したかどうか。それが女性の職業観念を大きく形成するのだそうです。

若桑氏はこの著書以降、ジェンダー史の研究にも傾いていったようです。

女性と職業としての芸術。

とても考えさせられる著作でした。

 

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命みじかし 恋せよ乙女 @弥生美術館

大正時代に夭折した画家、関根正二を追っているので、彼の生きた時代の恋愛観を知りたくて、弥生美術館の企画展を観てきました。

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弥生美術館は、文京区根津の東京大学に隣接しています。

弥生美術館と隣にある竹久夢二美術館は、鹿野琢見が開設した美術館です。竹久夢二コレクションの展示や挿絵、漫画を中心とした展示公開をしている個性ある美術館です。
この界隈は、夢二が滞在した〈菊富士ホテル〉がかつてあり、笠井彦乃と逢瀬を重ねた場所でもあり、昔から数多くの文豪をはじめとして芸術家ゆかりの場所。都心にありながら、昔ながらの東京の雰囲気を残していて散策するのも楽しそうな場所です。

http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/index.html

今回見たのは「命みじかし 恋せよ乙女 大正の恋愛事件簿」。

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上は、この展覧会にちなんで出版された書籍です。

マツオヒロミさんがこの展覧会のために描き下ろした山田順子田村俊子、お葉のイラストも展示され、乙女チックな雰囲気かなとおもいきや、展示されていたものはかなりハードで重く、本格的でした。

恋愛事件簿は(展示順ではなく、書籍掲載順)

北原白秋×松下俊子・江口章

平塚らいてう×森田草平

平塚らいてう×奥村博史

与謝野晶子×与謝野鉄幹

島崎藤村×島崎こま子

松井須磨子×島村抱月

田村俊子×長沼智恵子・田村松魚・鈴木悦

原阿佐緒×石原純

有島武郎×波多野秋子

白蓮×宮崎龍介

佐藤春夫×谷崎千代

藤原あき×藤原義江

澤モリノ×石井漠

山田順子×竹久夢二徳田秋聲

岡田良子×竹内良一・杉本良吉

・・・・いやはや、すごいパワーの愛の力です。

 

彼らの事件簿を当時の新聞の写しや書簡、書、書籍などで追い、会場にびっちりと展示してあり、見応え十分、いや十二分。

有名な平塚らいてう「元祖、女性は太陽であった」の直筆の書や、与謝野晶子の「みだれ髪」の当時出版されていた書籍、白蓮が龍介へ宛て大量の封書の実物もありました。

彼、彼女たちが確かに生き、愛した証が目の前に並べられていることに、強い感動を覚えました。

 

当時の一般女性は、親が決めた相手と結婚し、婚約中ですら二人きりで逢うことを憚られたといいます。

自由恋愛、自由結婚。それすら革新的だと思われていたものを、不倫、駆け落ち、心中など、どんなに周りから後ろ指をさされたことでしょう。

それでも愛を貫こうとした強さももちろんですが、運命的に出遭った二人とは、引くに引けない強い磁力に押されてしまうものなのかもしれないとも思いました。

平塚らいてうの夫、奥村博史の詩に心打たれました。

 

黒いといってもブリュネットの妻の髪

二人が結婚したころにはシルクのやうに

やわらかかった妻の髪

同棲五十年に日も近い今は

あらまし輝く白髪となって

一層ぬめのやうなやわらかさを加へて

何にたとへやうもない手ざわり

わたしは日にいくたび妻のこの髪に

手をふれてなでることだらう

妻の髪をなでるたびにおのれの心はなごみ

妻もやさしいまなこをわたしに向ける

妻よ、おたがいなんとしても

せめてもう十年を一層よく生きやうよ

その頃にはほんたうに

世界に平和がもたらされるだろうか

 

あまりにも 集中して観てしまい、出てくるころには頭痛がおこってしまったほどでした。

 

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レオナルド×ミケランジェロ @三菱一号館美術館

ルネサンスの三大巨匠といえば、レオナルド・ダ・ヴィンチミケランジェロ・ブオナローティラファエロ・サンティですが、ラファエロは若くして亡くなったせいか、レオナルドとミケランジェロが比較されることが多いようです。

この2人どっちが好き?と聞かれたら、私はミケランジェロ。彫刻が本当に美しいし、絵画もエネルギーに満ちている。一方レオナルドの描く女性が私はどうも苦手。虚をさまよっているような視線と口角が微妙に上がっているシニカルな笑顔にうすら寒い思いがします。だからモナ・リザは美人に思えないのです。

 

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さて、現在三菱一号館美術館で開催中の「レオナルド×ミケランジェロ展」とても面白かったです。

 

今回の目玉は、最も美しいとされる2人の素描。

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レオナルドの《少女の頭部/<岩窟の聖母>の天使のための習作》(左)とミケランジェロの《<レダと白鳥>の頭部のための習作》。

画力のある人の素描は本当に美しいですね。

 

解説で面白かったのは素描の描き方の違い。

レオナルドは、左利きだったため左上から右下に下すハッチングで線の重なり(密度といった方が私はわかりやすい)で陰影を表しているけれど、ミケランジェロは、クロスハッチングと言って線をクロスして凹凸を描いているということ。(http://mimt.jp/lemi/02.html に詳しく書いてあります)

また、ミケランジェロのこの作品のモデルは若い男の子だったようで、まつ毛を長くして彼をより女性らしく描き直したのが左下なのだということ。

こういう解説を得ながら鑑賞すると、素描をみることはとても楽しいですね。

 

今回展示されているものの多くは、切れ端のようなものに構想を練りながら描いていた、ある種落書き的なもの。

練習台とおもえばこそ丸めて捨ててしまいそうだし、紙とペンやチョークなんて劣化しやすい素材なのに…。

そんなものが600年近い時を超えてよくぞこれだけ遺っていてくれたという感動があります。すごい!!

 

今回のフォトスポットはこちら。

ミケランジェロが途中で投げ出してしまった(顔の部分に大理石の黒い傷が出てきて中断してしまった)ものを、だれかが仕上げたらしい。

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《十字架を持つキリスト(ジュスティアーニのキリスト)》1514-1516

この作品、角度を変えて見てみるとキリストの表情がまるで違うところに魅力を感じます。

 

派手さはないけれど、大作を仕上げる前の素描を見ることで、作家の頭の中を覗き見ているみたいな面白さがある展覧会でした。

 

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ベルギー奇想の系譜 @Bunkamura ザ・ミュージアム

渋谷Bunkamuraで、「ベルギー奇想の系譜」を観てきました。

 

6月にバベルの塔を観に行ったばかりですから、飽きてしまうかな、と思いきや。ワクワクドキドキ楽しい展覧会でした。

ボスを発端として、いったいベルギーはどうしちゃったのだろうと思います。

ヨーロッパの王族たちはこぞってボスの作品を所望したようですが、当時の王様たちは案外保守的ではなかったのでしょうか。

 

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《トゥヌグダルスの幻視》ヒエロニムス・ボス工房 1490-1500年頃

口がラッパみたいで体が玉子型。どんな発想力でこんな生き物が出来上がったのでしょう。

左下のトゥヌグダルスが異界の罪を観て回り、そののち悔悛したという物語を表しているらしいのですが、あまりにユーモラスで罪の恐ろしさをあまり感じません。こんなので道徳的効果があったのでしょうか。

 

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七つの大罪」シリーズ《邪淫》ピーテル・ブリューゲル(父₎原画1558年頃

七つの大罪」シリーズと「七つの徳目」シリーズがあります。

意識的な対にしているわけではないらしいですが、それぞれ7つずつの作品があります。

今回は大罪は7点、徳目は4点来ていましたが、圧倒的に大罪シリーズの方が面白いですね。人間にとって罪ほど、悲しく、哀れで、滑稽で魅力的なものはないということでしょうか。

 

今回の展覧会は、ボスから始まって、ブリューゲル、ベルギー象徴派、表現主義、そしてシュルレアリスムから現代までと、ベルギーのおよそ500年間の奇想をたどるものでした。

 

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《反逆天使と戦う大天使聖ミカエル》ペーテル・パウルルーベンス(原画)1621年

フランドルと言えば、フランダースの犬でおなじみのルーベンス

これもかなり悪魔的な描写です。筋肉モコモコ、ひねりポーズがミケランジェロの影響があるように感じます。

 

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《聖アントニウスの誘惑》フェリシアン・ロップス1878年


ロップスはほかにもミレーの絵をもじった「毒麦の種を蒔くサタン」など独特のおどろおどろしさの中に美とエロスを感じるものがあり、好きになりました。

 

 

最近、フランドル絵画が取り上げられる機会が増えました。

偉い人をお定まりのポーズで描いた肖像画より、このような奇想の作品の数々はより人間の深淵に迫ったもので現代の私たちの感性に訴えかけるものが多いからしれません。

 

 

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江の島

公共の通信に乗せるにはお恥ずかしい素人作品です。

しかし私にとっては大切な絵。

f:id:artwriter:20170725220323j:plain《江の島》SM(サムホール)

父が使っていたイーゼルにそのまま置いて、私の部屋に飾っています。いくつか遺っている作品の中でももっとも好きなものです。

地元のこの海を父も眺めて愛したと思うと温かい気持ちになります。

時々こんなふうに父AHの遺作を掲載します。

お見苦しいですが、遅すぎた孝行娘を気取らせてください。

 

 
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聖徳記念絵画館 in神宮外苑

ずっと気になっていた「聖徳記念絵画館」。

場所は、神宮外苑神宮球場のすぐ近く。

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大正15年に完成した建物は美しくて、秋は青山通りからこの建物を見ると銀杏並木が映えてまさしくフォトジェニック。

私はこの正面にある対の一角獣が好き。

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大学が近所なので、集中講義で疲れるとふらっとここまで散歩に来ます。

けれど、この絵画館の中に入ったことはなかったので、昼休み時間を利用して入ってみました。

建物に比べ、中の絵画が語られることは少ないので30分もあれば見ることはできるだろうと思っていました。

観覧料ではなく「施設維持協力金」として500円也。

中に入ると右と左に部屋が分かれています。

右と左の部屋には、日本画、洋画おのおの40点ずつの縦3m×横2.5mの同じ大きさの壁画がずらっと並びます。

ここは明治天皇崩御後、明治天皇の遺徳を絵画で物語るように構成されています。

歴史の教科書に出てくるような出来事を絵で確認することの面白さ。今でも名の通っている画家もいれば、当時は著名だったのだろうけれどもすでに忘れ去られている画家。それぞれの絵には奉納者がいて、そのテーマと奉納者の関わり合いを想像したり。そんなことを思いながら観ていたら、本当に面白いだろうなと思いました。

今回心に残った3点。

(画題)御深曾木
(画家)北野恒富
(奉納者)男爵 鴻池善右衛門

御簾の向こうに移る人影と簾の細かさ。精魂込めて描いた気迫が伝わるような作品でした。

 

(画題)初雁の御歌
(画家)鏑木清方
奉納者)明治神宮奉賛会 

さすが鏑木ワールド。遠くからでも引き寄せられる美しさ。高貴ですね。

 

(画題)岩倉邸行幸
(画家)北蓮蔵
奉納者)商業会議所連合会

岩倉の病状を心配して、陛下が岩倉邸を訪れる図。当時の人々にとって陛下が自宅においでになるとは勿体ないことだったことでしょう。家人全員が恐縮されている様子が見て取れます。翌日息を引き取った岩倉も本望だったことでしょう。

今回は時間までに戻らなくてはならず、流して観てしまいましたが、次回はもっと時間をかけて入館したいと思いました。

 

 
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