展覧会レビュー

柳原義達展&川瀬巴水展 @平塚市美術館

緊急事態宣言で都内の美術館がクローズになってしまったので、近場の美術館へ。 こういう時、地元の美術館が元気であるのはうれしい。 6月13日まで平塚市美術館では三重県立美術館全面協力の「柳原義達展」と地元コレクター荒井寿一氏の「川瀬巴水展を行…

モンドリアン展 @SOMPO美術館

かつてモンドリアンの絵の様なドレスがあったな、と調べてみたら1965年のイブ・サンローランの作品「モンドリアン・ルック」のことだった。 黒い直線に赤・青・黄の四角。モンドリアンといえばまさにこれ。 今回の展覧会に展示された下の作品も一連の作品の…

「あやしい絵展」@東京国立近代美術館

https://ayashiie2021.jp/ ←あやしい絵展 公式サイト 待ちかねた本展の会期最初の週末。行ける時間枠にたった1枚あったネット予約枠を得て会場に向かうと、そこには長蛇の列。 事前予約なしでも、行列覚悟なら観覧できたのか。いや、でも、密。 その長蛇の列…

トライアローグ 語らう20世紀アート @横浜美術館

https://yokohama.art.museum/special/2020/trialogue/index.html 横浜美術館はこの展覧会を終了すると、2021年3月1日(月)から大規模改修工事にともない長期休館に入る。 親しみのある地元の美術館に行けなくなるのは寂しくて、見納めのような気持ちで本展…

「桑久保徹 A Calendar for Painters without Time Sense.12/12」 @茅ヶ崎市美術館

桑久保徹@茅ヶ崎市美術館 茅ヶ崎市美術館で2月7日まで開催されている「桑久保徹 A Calendar for Painters without Time Sense.12/12」 を観に行った。 現代に生きる桑久保徹が12人の巨匠のアトリエ(スタジオ)をイメージして描いた12枚の作品を「カレンダ…

クリスチャン・ボルタンスキー@国立国際美術館

国立新美術館で行われていた当展。話題になっていたのは知っていたけれど、見逃してしまった。たまたま来阪していたので、行ってみた。 批評を読んでも、ボルタンスキーについての予備知識がなかったので、どんな展覧会であるか予想がつかず。それもまた良し…

「マルセル・デュシャンと日本美術」@東京国立博物館

レディメイドの車輪やベン…いや、《泉》などや、現代美術の教科書に掲載されてる写真とかもいっぱいあって、ミーハー的にワクワクした。授業で習った通りちゃんと「R.MUTT」のサインがある! 《チョコレート磨砕器》《彼女の独身者たちによって裸にされた花…

ピエール・ボナール展@国立新美術館

ボナールの絵が好きだと思ってたけれど、惹かれる絵はその中で限られてたというのがわかって、自分でもちょっとびっくり。あんまりグッと来た絵が少なくて、(以前見たものが結構あったせいかもしれないけれど)実はそんなに好きじゃなかったのかも。 ナビ派…

開館15周年 特別展 ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデルニテ@パナソニック汐留ミュージアム

厚塗りルオーの宗教画の数々。明るい色彩と石膏のようにも感じるマチエール。受難のキリストにも温かさと優しさを感じる。 冒頭のモノクロームの版画にすらルオーの質感が感じられるのが凄い。「生きるとはつらい業…」「でも愛することができたなら、なんと…

藤田嗣治展@東京都美術館

フジタについては、これほど国内で賛否両論ある画家もいないのではないか。とある重鎮のキュレーターの方にギャラリートークの上達法をお聞きする機会があったのだけれど、「対象を好きになること。だから僕はフジタに関しては語れない。」とのこと。いわず…

モネ それからの100年展@横浜美術館

モネの睡蓮、風景画の展示とその影響を受けたと思われる作家、あるいはオマージュ作品。現代アートがかなりあり、モネがその後の絵画史に大きな影響を与えたことがよくわかる。 色と形の変革。このころの絵画史は先人を乗り越えようとイズムを刷新し続けたわ…

イサム・ノグチー彫刻から身体・庭へ@東京オペラシティアートギャラリー

イサム・ノグチは、評伝も読んでいるし、映画「レオ二―」も観ているし、思い入れのある作家。どうしても来たかった。1枚目のドローイングでドギマギ。なんて綺麗な曲線を迷いなく引ける人なんだろうか。作家との相性は、理屈なくとにかく感性がぴったり合う…

水を描く@山種美術館

猛暑に清涼のひととき。様々な作家の水の表現の違いが楽しめる。これだけ水が作品の重要な要素になっているのは、日本が豊かな水のくにであるからこそ。先日レクチャーを受けた佐藤悠さんの鑑賞術の一つにあった「自分ではない者になってみる」。山元春挙の…

フェルメール 光の王国展2018@そごう美術館

色々ツッコミどころのある展覧会。オリジナルの品格を落としめているような複製画。プラスティックの額縁がそれを物語る。37点もそれを見せられて辟易していたところ、絵に登場する楽器のレプリカの展示。これは結構面白い。後半の顕微鏡の父レーウェンフッ…

原宿アートハシゴ 2018.8.9

落合芳幾@太田美術館。知名度はあまりないけど良い絵師。人体デッサンがしっかりしてるなと思う。キース・へリング@表参道ヒルズ。ユーモラスな画風だけど、風刺が効いていて重いテーマが多いことがわかる。ポップカルチャーの大御所のハートは決してポップ…

長谷川町子美術館 

先日私の敬愛するギタリスト、小倉博和さんのライブが行われるので桜新町に行きました。 桜新町と言えば・・・サザエさんの街。 長谷川町子美術館にも寄ってみることにしました。 桜新町の駅を出ると「サザエさん通り」の旗が!あちこちにイラストやモニュメ…

命みじかし 恋せよ乙女 @弥生美術館

大正時代に夭折した画家、関根正二を追っているので、彼の生きた時代の恋愛観を知りたくて、弥生美術館の企画展を観てきました。 弥生美術館は、文京区根津の東京大学に隣接しています。 弥生美術館と隣にある竹久夢二美術館は、鹿野琢見が開設した美術館で…

レオナルド×ミケランジェロ @三菱一号館美術館

ルネサンスの三大巨匠といえば、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ・ブオナローティ、ラファエロ・サンティですが、ラファエロは若くして亡くなったせいか、レオナルドとミケランジェロが比較されることが多いようです。 この2人どっちが好き?と聞…

ベルギー奇想の系譜 @Bunkamura ザ・ミュージアム

渋谷Bunkamuraで、「ベルギー奇想の系譜」を観てきました。 6月にバベルの塔を観に行ったばかりですから、飽きてしまうかな、と思いきや。ワクワクドキドキ楽しい展覧会でした。 ボスを発端として、いったいベルギーはどうしちゃったのだろうと思います。 ヨ…

聖徳記念絵画館 in神宮外苑

ずっと気になっていた「聖徳記念絵画館」。 場所は、神宮外苑。神宮球場のすぐ近く。 大正15年に完成した建物は美しくて、秋は青山通りからこの建物を見ると銀杏並木が映えてまさしくフォトジェニック。 私はこの正面にある対の一角獣が好き。 大学が近所な…

生誕140年 吉田博展 山と水の風景 @東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館

東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館にて、「生誕140年吉田博展 山と水の風景」を観てきました。 吉田博(1876‐1950)といえば、故ダイアナ妃やフロイトが愛した木版画で有名ですが、今回は水彩画、油彩画、日本画と多彩な作品が出展されていました。 20…

ジャコメッティ展 @国立新美術館

細長い像 私の中で「あしながおじさん」のイメージは、ジャコメッティの彫刻です。やたらと細長くてボリュームがない彫像。 「あしなが」であることはもちろんなのですが、「姿がみえず、存在があるようでない。実態がないみたいだけれど、妙に存在感がある…

コレクション展「躍動する個性ー大正の新しさ」@神奈川県立近代美術館 葉山

神奈川県立近代美術館 葉山 海を望む場所にある神奈川県立近代美術館 葉山。 ここに所蔵されているコレクション展「躍動する個性ー大正の新しさ」を観に行きました。 神奈川県立近代美術館はかつて著名な美術評論家、土方定一氏が長く館長を務めておられ、以…

アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国 @東京ステーションギャラリー

アウトサイダー・アートとは アウトサイダー・アート(アール・ブリュット)とは、精神疾患者、知的障碍者など正規の芸術教育を受けていない人たちの芸術を言います。 精神疾患を持っていても、ゴッホや草間彌生などは芸術家としての修行過程があるから含ま…

ブリューゲル「バベルの塔」展@東京都美術館

今年の展覧会の話題の一つである「バベルの塔」を観てきました。 金曜日の午前中だというのに、会場である東京都美術館に向かう人がぞくぞく。この調子だと会期ぎりぎりの週末はきっとエライことになりそう。こういう話題の展示は早めに見ておきたいですね。…